自戒を込めて

東京のほとんどの落語教室では、やりたい演目のお手本は市販のCDやDVD、あるいは録画したテレビ番組やユーチューブ等から自分で選んで調達されているかと思います。で、覚えた後、落語教室で師匠の前で稽古する際、お手本の高座と、講師の師匠のご指摘内容が食い違う事がホントによくあります。

だからってソワソワしないで!まず、それにはいくつか理由があります。

1.お手本通りにやってない。
うちに帰ってお手本を見直すと、実は師匠のご指摘と合ってました、単純に自分が勘違いしているだけでしたって事、僕もけっこう多いです。好きなだけ悶絶して下さい。

2.お手本が間違ってる。
大胆な事を書くようですが(笑)スタジオ撮りは別として、お手本のCDやDVD、テレビ番組は落語会の状況をそのまま使ってます。その中で間違えてしまい、仮に当人が気付いたとしても、目の前にお客さんがいる以上やり直す訳にはいきませんのでそのまま進めます。だから、違法の音源は勿論、市販されている正規のものでも言い間違いは結構そのまま残ってます。中には最小限で言い直してる場合もありますが、そこに気付かないと、落語「本膳」みたいに間違いも含めてお手本だと思ってしまいます。

3.ご指摘が間違ってる。
これもレアケースでですが、あります。どんな師匠も持ちネタでない演目は、持ちネタと比べて深掘りしてない事はあり得ます。一門によって当然やり方も違いますし。人間だもの。

んで、じゃあどうすりゃいいの?ってえと、自分が思うケース別の対処法は

1.一番良いのは自分の高座の録音・録画ですが、それが面倒な人は師匠のご指摘より自分の高座を疑った方が良いと思います。頭の中で言ってる台詞と、実際に口に出た台詞は完全にイコールではないです。まずはお手本を確認しましょう。

2.寄席に行けよ(笑)それは極端ですが、同じ噺を色んな師匠のバージョンで聴くのは勿論、同じ師匠の同じ噺でも、言ってる事が違う場合があります。ベースとなるお手本の全台詞には拘らず、別の師匠、別の高座で言ってる台詞の方が違和感がなければ、そこは噺が矛盾しない範囲で置き換えてしまって良いと思います。

3.これが一番難しいですが、少なくとも「××師匠のDVD通りですけど」という反論は上の1.2.の通りあまり意味がありません。そもそも、こっちが勝手にお手本にさせて貰ってるだけで、お手本にされる高座に何の責任もないんです。

仮に反論するとしたら、登場人物の立ち位置(物理的な配置だけでなく身分、役割なども含めて)や心情等々、噺の中身で、どうして××師匠がそう演ってるのかを想像して、その上で自分がどう思って演ってるかをお伝えすべきです。僕らはお手本の高座を演じてるのではなく、八っつぁん熊さんを演じてるのです。その上で講師の師匠の思いを聴く方がよろしいかと。

あー、こういう爆弾は暫く自粛しようと思ってたのですが、どっちかと言うと自戒の為に。根が捻くれ者なので、時々読み返して素直な気持ちになります(笑)