一人で読むからドクショの秋

秋の夜長にふさわしい、最近読んだ落語本をいくつか。

柳家喬太郎 江戸料理 平らげて一席
噺 柳家喬太郎
聞き書き 佐藤俊一
小学館

★★★☆☆
喬太郎師匠だと「こてんパン」「こてんコテン」の方が有名だし、そっちの方が面白いんですが、みんな読んでるだろうしねー。ちょっと毛色の違った本を。名前の通り、江戸落語に出てくる「料理」に主眼を置いた本。初天神だったら「団子」、二番煎じだったら「猪鍋」、ある意味マニアックなのに居残り佐平次で「軍鶏鍋」だったりね。

どちらかといえば芸談よりも食べ物のうんちくが多め。喬太郎師匠の口調のままなので、すらすらと読めて楽しい。ただ、多くの落語本に言えるんですけど、あらすじに使う頁をもっと少なくして欲しい。どうせ読み飛ばすんだから…。じゃあこの本の何がおススメか?装丁と食べ物の写真が綺麗なんですよねー(笑)

 

十八番の噺 落語家が愛でる噺の話
著 春風亭昇太、桃月庵白酒、柳家喬太郎、立川生志、林家正蔵、三笑亭夢丸、立川こはる、春風亭昇々、滝川鯉八、柳亭小痴楽、柳家わさび
フイルムアート社

★★★★☆
「あなたの十八番はなんですか?」と、言うテーマを元に、真打5名、二つ目6名の噺家さんが書いた文章を集めたもの。印象的なのは、殆どの噺家さんはまず「十八番は自分で選ぶものではなく、お客様が選ぶもの」というスタンスで語ってらっしゃった。とは言え、やっぱりそこは噺家さん、思い入れのある演目にはどうしても饒舌になってしまうのが実に可愛らしい。おススメは生志師匠かなあ。ある意味、落研的な素直さと熱さと理屈っぽさ(笑)のある文章でした。

あと、前述の本ではないですが、登場すら全ての噺のあらすじが一箇所に固まってるところが好印象。わからない人は後で読んどいてー、って感じで良いのです。

 

噺は生きている 名作落語進化論
著 広瀬和生
毎日新聞出版

★★★★☆
「芝浜」「富久」「紺屋高尾・幾代餅」「文七元結」をテーマに、どの師匠がどういう演出をしたか、というのを比較分析された、考えるだけで気が遠くなるような本、なんですが、これが僕みたいなマニア志向のあるタイプには抜群に面白い!同じ噺であっても、何を強調し、代わりに何を簡略化するか、色んな事を入れ替えながら、話し手にとって一番「しっくり来る」形を見出すまでの試行錯誤のプロセスにうっとり。あー、台本ではない落語の良さが、馬鹿な私でも何となくわかった気がしました。

一つ、注意点としては、この作者、明らかに重篤な談志病です。なので、ほかの師匠と比べ談志師匠に割いている頁数が明らかに多いです。「文七元結」については談志師匠だけで7パターンの演じ分けについて語ってますので、そのあたりは、読み手を選ぶかも知れません(笑)でも、それを補って余りある魅力を感じました。