葛城事件

 

映画公開時、リアルタイムでは観れなかったのですが、ようやくDVDになったようで。

予告編の三浦友和さん演じるお父さんの「俺が一体何をしたっ!!!」って叫びが、本当に作品内の全ての登場人物に共通する思いだったと思う。無差別通り魔連続殺人事件の加害者の家族になってしまった一家と、死刑制度反対という目的から加害者と獄中結婚する女を中心に、事件が起こる前と事件が起こった後を交互に描く、というのが、大まかな粗筋なのですが、

いや、素晴らしいわ。素晴らしく後味悪いわ。怖い映画も緊迫感のある映画も面白いと思うけど、後味の悪さをここまで追求すると面白くなっちゃうんだなあ、と感心しました。強圧的で、俺が家族を守るんだ、と周囲に言いふらす割には、肝心な所で家族と向き合えない父と、そんな父と対立しながらも、実は性根は父とそっくりで、夢を語りながらも結果、何もしていないニート(であり、加害者になる)次男。そんな二人に挟まれながら、大人しい長男は全部自分で抱え込んで屋上からダイブし、母親は優しい狂気の世界に旅立っちゃう。本当に最悪です。獄中結婚する女も一癖も二癖もあって、理想と正義に盲目的になりすぎちゃってて、やる事なす事が完全に空回りと、まともな人物は一切出てこない。

不幸な悲劇というだけでもなく、不謹慎なブラックコメディだけでもなく、だからこそリアルで、簡単に答えは出ない。だからこそ、やっぱこれは「面白い」映画でした。