わらうとまけよ

寄席文字教室の帰りに先輩にお誘いいただき、軽くアルコールを注入。ほろ酔い気分で帰宅した後、月曜の小三治師匠の高座を反芻したいと思ってyoutubeでこんな動画を見てました。(けっこう長いので注意)

大変、勉強になったのですが、小三治師匠の言葉の中に「笑わせようとするのではなく、つい笑ってしまうのが落語なんです」というのがあって、

それをトリガーに思い出したのですが。

子供の頃は、よく友達と「にらめっこ」をしてました。その友達の中に「にらめっこ最強の男」がいました。全然ブッサイクではなく、むしろ、そこそこ整った顔(と書けば聞こえがいいですが、要は「薄い」顔。)だったそいつの編み出した戦法は、まず、普通に変顔をします。こっちも負けてたまるかと変顔で応戦するのですが、勝負がピークに達した瞬間、ふっと真顔に戻るんです。怒った顔でも、泣いた顔でも、ましてや笑った顔でもなく、無言で、感情プラスマイナスゼロ、フラットな真顔。それを数秒見てたら、こっちはもうダメ。綱引きで引っ張られるように笑ってしまい、幾多の変顔達が何度も陥落されてしまった訳です。タイミングさえつかめれば、変顔という「天性の才能」をそれ程必要としないその戦法は、当時の僕らにとって「にらめっこ」の概念が一変するぐらいの革命で、「にらめっこ」そのものに飽きるまで、みんなでそいつの真似したっけ。

こないだの小三治師匠の「間」で笑ったときの感覚は、その「にらめっこ最強の男」にやられた時に近い気がしたんですよね。冷静に考えると、子供の遊びと国宝の至芸を比較するなよ、と、方々から怒られそうですが、なんか、大事なヒントのような気がしてならない。

寄席文字教室について

橘流の寄席文字教室では、毎年、各地の教室が一箇所に集まって新年会を行うそうです。そこでは、一つの課題(テーマ)に則って各教室の生徒達が作成した作品を会場に展示し、品評されるそうです。

そうです、そうです・・・と、しきりに書いているのは、今年の新年会の時は入りたてだったので、僕はまだ一度も出席してないのです。

課題は毎年、異なるのですが、たしか、去年は「好きな噺家さんの手ぬぐいをデザインしてみよう」でした。で、今年の課題は「落語、講談、浪曲”以外”の、寄席に出てくる色物芸人さんのメクリを作ってみよう」。単純に字の上手さだけではなく、知る人ぞ知る、古くからの寄席ツウをうならせるような色物芸人さんを発掘することも評価点となるというもの。ただ、全員がその課題ではなく、入会して一年以内の生徒は「数字を習いたての頃と逆順に書く」なのです。

僕は、去年の12月に体験入会して、1月にそのまま正式入会した状態なので、師匠からはどっちでチャレンジしてもいい、とおっしゃってくださったのですが、何日間か悩んだ結果、今回は数字でチャレンジする事をお伝えしました。

おおっぴらに初心に立ち返れる数少ないチャンスであったし、正直、今は、下手な奇策が使えない課題の方が、より自分を厳しく追い詰められるかな、と思ったので。同じ課題の生徒のなかでは恐らく自分が最も古株だって言う状況も、低評価で当たり前のメクリを書くよりよっぽどヤバいプレッシャー。

師匠は「楽な方を選びやがって」とあっさり看破されてましたが(笑)

とはいえ、新年会の時に話題についてこれないのも悔しいし、昔の色物芸人さんは自分なりに勉強しておこうっと。